【歴史】中山平温泉地区C58 356解体について

間もなく中山平温泉地区のC58 356が解体されることとなります。

(当保存会では解体を望まれた地域代表者の方々のご意見を尊重し、解体を了承しております)

当保存会には大崎市内だけではなく小牛田~新庄の陸羽東線各沿線にご在住または御縁のある方々も所属しております。メンバーのお一人は新庄市のご出身で現役鉄道職員、御祖父様・御父様も新庄機関区にて国鉄職員を勤められ実際に蒸気機関車C58を運転されていたそうです。その方がC58 356への鎮魂と慰労、惜別のため中山平温泉までお越しくださいました。

そうした気持ちを込めて、この方の御祖父様が実際に被っていた戦闘帽(左側)、機関士の腕章(中央)、そして御父様が被っていた綿帽(右側)をC58 356にそえてあげたとの事です。

また蒸気機関車のエネルギー源である石炭を献花代わりに置いてこられたとの事でした。

御祖父様は蒸気機関車を運転されていたころ、よく「ブレーキがきかなくなる夢」を見られていたそうです。蒸気機関車の運転はアナログで非常に難しく、特にブレーキ操作が最も難しいとされております。鉄道輸送は人命に関わる以上、安全が何よりも重く求められている事は現代でも変わりはなく、そうした鉄道マンの強い責任感が陸羽東線沿線地域の発展を支えてきました。

なおこの方がC58 356の前にいたところ地元の方が声をかけてくださったとの事で、このような話があったとの事でした。


「近々SL壊すんだは、なにも何十万もかけて壊さなくたって1・2万ペンキ買ってあげて愛好会の人たちに塗って貰えばいいのによー。とっておけば人も寄ってくるしよー、今の行政は壊す壊すってよー。宮城県はそういうの下手でよー、花いっぱい運動なんかは宮城県はコメリから買って配布するだけ、山形県は自分で育てたりその辺に自生している水仙を鉢植えしたり、上手くやってるのによー」


また保存運動当初、中山平温泉地域を保存会代表が歩いて地域の方にお会いした際に「毎日のように見てきたけど、SLには魂があるように感じていた。残せるならば残してほしい」と話されていた方もおりました。


保存会代表は昨日に中山平に赴き、別杯をして参りました。


C58 356の解体は誠に残念な結果ではありますが、中山平温泉のC58 356が例えボロボロになろうとも親しみや愛着を持っていた方々や、直してほしいと願う方々がたくさん居たことも確かな事実です。そのことをしっかりと記憶に残すため、ここに記録いたします。

陸羽東線シゴハチ歴史保存会・陸羽東線シゴハチの里PROJECT

陸羽東線シゴハチ歴史保存会では、大崎市内に静態保存されている蒸気機関車「C58」の保存活動として、 「陸羽東線シゴハチの里PROJECT」を展開しております。