陸羽東線シゴハチ歴史保存会では、大崎市内に静態保存されている蒸気機関車「C58」の保存活動として、
「陸羽東線シゴハチの里PROJECT」を展開しております。
宮城県大崎市内に静態保存されている蒸気機関車C58、愛称は「シゴハチ」。
昭和40年代後半、地域発展に貢献した「功労者」として、当時の国鉄から大崎市(旧古川市・岩出山町・鳴子町)に無償貸与されました。当時の国鉄職員の方々は天皇陛下が御乗車される「お召列車」のようにシゴハチをピカピカにして各保存地へ送り届け、特に岩出山地区では地元の方々によって「ようこそC58さん」という歓迎の歌が作詞・作曲され歓迎されるほどの状況でした。
・・・しかし保存から50年という長い歳月が流れ、当時の方々の想いも忘れ去られたかのようにシゴハチたちはボロボロになっていきました。
しかしどんなにボロボロになっても、「ふるさとの風景」として市民に親しまれてきたことも確かな事実です。
私たちはこうしたかけがえのない「地域の宝」を再び綺麗に整備して、未来にしっかり遺していこうと決意し、「陸羽東線シゴハチ歴史保存会」を立ち上げました。
守りたいのは故郷の「歴史=人生」です。
私たちはただ単に保存するにしてもお金がかかる蒸気機関車を未来に遺したい訳ではありません。
シゴハチたちが大崎耕土で育った美味しいお米を全国へ運び、郷土発展のために頑張ってくれたこと。
私たちの大事な家族を乗せて、雨の日も、雪の日も、坂道を一生懸命になって駆けてくれたこと。
現役引退後も「子供たちのために」と、この大崎の地にシゴハチたちを残してくれた当時の方々のこと。
そうした様々な人達の「歴史=人生」を乗せた蒸気機関車を未来に遺すことで、この大崎の地で育つ子供たちのために「守ることの大切さ」を、蒸気機関車を通じて教えてあげたいのです。
「このシゴハチはお父さんのおじいちゃんの時代から、この故郷を見守ってきてくれたんだよ」
そんな事を子供たちに言える、歴史を大事にできる誇りある故郷にしたいのです。
そしてただ保存するだけではなく、地域の「宝」となれるよう建設的で前向きな保存活動を展開していきたい。
それが私たち「陸羽東線シゴハチ歴史保存会」の願いです。
想いをカタチへ
2020年に解体方針が発表されたとき、保存の声をカタチにしようと動いてくれたのは僅か数名でした。しかしSL保存を訴えていく日々の中、地域の方々や全国の有志の方々が次々と力を貸してくださり、保存を望む声は大きな輪となっていきました。
そうした最中「C58 114」が保存されている地域の方々が”このSLを長年見てきた地域に生きる人間としてSLを守っていきたい”として『岩出山城山SL保存有志の会』を結成。陸羽東線シゴハチ歴史保存会と協力連携しながら共にSL保存運動の機運を高め、2022年5月24日に大崎市長へ署名2155筆を提出。大崎市政と約半年の協議を重ね2023年8月30日に保存へ転進となりました。
桜のように美しいSLを目指して
「陸羽東線シゴハチ歴史保存会」ではSL保存運動で得られた広域的(グローバル)団体として。
「岩出山城山SL保存有志の会」ではSL保存地域としての地脈を活かした地域的(ローカル)団体として。
お互いの強みを連携させた”グローカルなSL保存活動”を行ってまいります。
「何度でも美しく咲く桜のように、いかなる時代も美しいSLとして未来に遺し続けてくこと」
それが私たち保存会が必ず実現し続けていきたい夢です。
SL保存活動に関して
●陸羽東線シゴハチ歴史保存会 会長 大場 正明
◆スタジオジブリ作品「コクリコ坂から」のセリフより◆
古くなったから壊すと言うなら、君達の頭こそ打ち砕け!
古いものを壊すことは過去の記憶を捨てることと同じじゃないのか?
人が生きて死んでいった記憶をないがしろにするということじゃないのか?
新しいものばかりに飛びついて歴史を顧みない君達に未来などあるか!
少数者の意見を聞こうとしない君達に民主主義を語る資格はない!!
このセリフは映画の主人公が発言したものです。学生たちのボロボロな部活棟「カルチェラタン」が取り壊し決定となり、学生たちの中でも「保存」か「解体」かで意見が割れたときに、このセリフを主人公は声高らかに訴えます。そして保存を望む学生たちが協力し合い、一生懸命になって綺麗にしたことで反対派も保存に同意し、最終的には学校理事長が学生たちの熱意に動かされ「保存決定」となる物語が描かれています。
現実は映画のようにはうまくいかないことがほとんどです。でも、声が広がればそれも夢では無くなるかもしれません。そのためには、まずは行政に「解体」について考え直して貰う事が必要となります。
どうか、あなたの「力」を私たちに貸してください。
そして歴史を誇れる郷土にしていきましょう。
【Profile】
1987年12月 山形県新庄市にて生を享け、羽前赤倉駅前を故郷に持つ。古川在住。
2005年11月 全国高等学校パソコン甲子園デジタルコンテンツ部門全国優勝(審査委員長 松本零士氏)
2010年4月 小牛田駅開業120周年・美里町観光写真コンクールJR東日本小牛田駅長賞
2017年11月 陸羽東線全線開業100周年記念・最上町鉄道写真コンテストJR東日本新庄駅長賞
2017年11月 第1回鉄道写真詩コンテスト入選(審査員 国土交通省鉄道局長、米屋こうじ、水無田気流(詩人・社会学者)、一般社団法人交通環境整備ネットワーク代表理事)
2019年3月 第9回おおさき観光写真コンテスト入選(陸羽東線風景を出展、大崎市長より賞状授与、おおさきタイムス掲載)
※「大崎市の魅力の再発見と、新たな観光資源の発掘につなげることを目的」としたコンテスト
2019年11月 第3回鉄道写真詩コンテスト入選
2020年9月 リゾートみのりフォトコンテスト入選
至って普通のサラリーマンですが、こうして書き連ねると何かと鉄道や陸羽東線に関わる人生を歩んできました。
これらの経験をこのプロジェクトを通して大崎市のために何かしらの形で活かしていきたいところです。
●陸羽東線シゴハチ歴史保存会 特別顧問 眞船 直樹 様
C58の意義は、24年間に渡って陸羽東線を支え続けただけではなく、それが日本の高度経済成長と重なっていた点です。陸羽東線の絶頂期がC58の時代と重なりました。そして日本のローカル線の典型としての運転がなされると同時にその性能が最大限に発揮された路線でもありました。大崎地方の農業施設や景観が世界農業遺産に認定されていますが、それに入れてほしいのはC58が走る陸羽東線でもあります。伊達藩が江戸の米の1/3を仙台の「本穀米」にしましたが、昭和の高度成長期の米の全国への出荷はC58の貨物列車でした。また、湯けむりに似合う列車は蒸気機関車牽引の列車であり、晩年まで旅客列車も蒸気機関車でした。大崎市に残された3両は、それぞれがかけがいのないそれぞれの歴史を背負った機関車です。歴史的考証の中でこの証人たちを生かすことで後世に大崎の文化を伝えるのが私達の世代の役割と考えます。
【Profile】
宮城県大崎市古川出身。
北海道大学病院医師・酪農学園大学名誉教授・元北海道鉄道文化協議会運行部長・National Railway Historical Society Roanoke Chapter Member(アメリカ合衆国)
2017年の陸羽東線開業100周年の際に開催された「全線開通100周年記念 陸羽東線展(主催:東北福祉大学、協力:大崎市教育委員会、東日本旅客鉄道㈱)」にて、記念講演を務める。
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【写真提供】眞船 直樹 様(大崎市古川出身)
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